経営承継円滑化法においては、どのようなことが規定されていますか?
平成20年度に創設された経営承継円滑化法。この法律では、後継者による経営権確保を支援するため、生前贈与された自社株式について遺留分の算定基礎から除外できること等、遺留分について特別の規定が定められました。一定の要件を満たす後継者が、先代経営者の推定相続人全員と合意を行い、所定の手続き(経済産業大臣の確認・家庭裁判所の許可)を経ることにより、以下の遺留分に関する民法の特例の適用を受けることができるというものです。
1.除外合意の特例
先代経営者の生前に、経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることにより、先代経営者から後継者へ生前贈与された自社株式その他一定の財産について、遺留分算定の基礎財産から除外することができます。
2.固定合意の特例
生前贈与後に、株式価値が後継者の貢献によって上昇した場合でも、遺留分の算定については相続開始時点の上昇後の評価で計算されることになってしまいます。
しかし、経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることにより、遺留分の算定について、生前贈与株式の価額をその合意時の評価額で予め固定することができます。
←「オーナーと後継者の意見がぶつかり、事業承継がなかなか進みません。この2人の意見の相違を解消するためにできることを教えてください。」前の記事へ 次の記事へ「私は長い間不動産への投資を継続的にしていました。不動産への投資により相続税の評価が下がる仕組みを知っており、息子たちが税金を納められる範囲内で継続していたつもりです。この間、親しくしている不動産業者の紹介により海外投資セミナーに参加したところ、投資として海外の不動産が魅力的に思え、購入したいと考えました。日本語の対応をしてくれることや相場が年々上がっていることから、ハワイの不動産を勧められましたので、ハワイに出向きました。現地の不動産の内覧をさせてもらい、日本にはないとても魅力的な物件がありましたので、自分でも使えるホテルコンドミニアムを購入することにしました。帰国後、購入手続を進めていましたが、確定申告をお願いしている税理士に報告した際に、「海外の不動産は日本の不動産と評価が違うので、相続税が高くなってしまう可能性がある」と指摘されました。そして、「平成26年から国外に5,000万円を上回る財産を有している場合、税務署に国外財産調書という書類を提出する必要がある」とのことでした。投資としての利回りはとても魅力的ですので購入したいのですが、相続のことを思うと迷ってしまいます。国外にある不動産も国内の不動産と同様に相続税対策になると思い込んだのが間違いでしょうか?」→