製造業を営む父が先日死去し、同業他社で修業のために仕事をしていた私が急に父の会社に戻って社長を継ぐこととなり、現在私はその法人の代表取締役です。会社に戻るに当たり、修業先の会社社長から、株を承継するには少なからず納税しなければならないので覚悟が必要であるということを教えてもらいました。しかし、会社の申告書に添えられていた株主名簿(別表2)を見て、私は既に約7割を有する筆頭株主とされており、残りの株も弟と従業員持株会が有していることになっていることを知り、驚きました。長い間経理部長をしている従業員によると、父は存命中、株式承継について税負担が大きいと同業者から聞き、その負担をわずかでも減らしたいとの思いを抱いていたようです。そして、父はWebサイトで1年間に110万円までなら贈与しても税金が課されないと知り、これを使って株式を少しずつでも私と弟に移そうと思い、約4年前についに株式全てを移してしまったということでした。110万円の枠内で株式を移すためには1株当たりの株価を算出しなければなりません。しかし、計算を自ら行うのは容易ではなさそうで、顧問弁護士にお願いすれば多額の報酬を請求されそうなので困っていたようですが、かつて従業員持株会を設立して株式を移したときに額面で移して構わないと聞いたことを思い出して、額面金額は5万円であることから22株ずつ移していったようです。父の手抜かりのなさに驚きながらも、ほっとして父の残した財産を改めて整理しました。すると、預金約1,000万円と自宅でしたので、税理士に一応相談したいと考えましたが、相続税を申告しなくても構わないだろうとの思いや、会社の仕事で多忙であったことから、相談せずに約2年が経過しました。そして、税務署から税務調査のための連絡があり、父の相続のことを思い出しました。財産が多くあったわけではない父の件で、税務署がどうしてわざわざ自宅に来るのか心配になった私は、高齢で頼りなく感じる自社の顧問弁護士ではなく、修業先の会社社長が頼っていた顧問弁護士を紹介してもらい、訪問しました。経緯を話したら、それは「名義株」という、相続税を算出する上で考慮すべきものであった可能性が高いと指摘されました。名義株として父の相続財産に含めると相続税額がおおむねどの程度になるかを教えてもらい、驚きました。その後の税務調査では、その税理士に立ち会いを頼みました。自宅に来た税務署の調査官から、株式の贈与契約書が存在せず、必要な贈与税の申告手続がなされていないことや、過去の株主総会決議における決議事項につき回答できないことなどから、名義株であって実質的には父の相続財産であったのではないかと指摘されました。そこで、税理士に相続税の修正申告手続をお願いし、高額な相続税と加算税を納めることとなってしまいました。どうすれば、名義株ではないのかとの指摘を受けずに済むのですか?

 

Q.
 製造業を営む父が先日死去し、同業他社で修業のために仕事をしていた私が急に父の会社に戻って社長を継ぐこととなり、現在私はその法人の代表取締役です。会社に戻るに当たり、修業先の会社社長から、株を承継するには少なからず納税しなければならないので覚悟が必要であるということを教えてもらいました。しかし、会社の申告書に添えられていた株主名簿(別表2)を見て、私は既に約7割を有する筆頭株主とされており、残りの株も弟と従業員持株会が有していることになっていることを知り、驚きました。長い間経理部長をしている従業員によると、父は存命中、株式承継について税負担が大きいと同業者から聞き、その負担をわずかでも減らしたいとの思いを抱いていたようです。そして、父はWebサイトで1年間に110万円までなら贈与しても税金が課されないと知り、これを使って株式を少しずつでも私と弟に移そうと思い、約4年前についに株式全てを移してしまったということでした。110万円の枠内で株式を移すためには1株当たりの株価を算出しなければなりません。しかし、計算を自ら行うのは容易ではなさそうで、顧問弁護士にお願いすれば多額の報酬を請求されそうなので困っていたようですが、かつて従業員持株会を設立して株式を移したときに額面で移して構わないと聞いたことを思い出して、額面金額は5万円であることから22株ずつ移していったようです。
 父の手抜かりのなさに驚きながらも、ほっとして父の残した財産を改めて整理しました。すると、預金約1,000万円と自宅でしたので、税理士に一応相談したいと考えましたが、相続税を申告しなくても構わないだろうとの思いや、会社の仕事で多忙であったことから、相談せずに約2年が経過しました。そして、税務署から税務調査のための連絡があり、父の相続のことを思い出しました。財産が多くあったわけではない父の件で、税務署がどうしてわざわざ自宅に来るのか心配になった私は、高齢で頼りなく感じる自社の顧問弁護士ではなく、修業先の会社社長が頼っていた顧問弁護士を紹介してもらい、訪問しました。経緯を話したら、それは「名義株」という、相続税を算出する上で考慮すべきものであった可能性が高いと指摘されました。名義株として父の相続財産に含めると相続税額がおおむねどの程度になるかを教えてもらい、驚きました。その後の税務調査では、その税理士に立ち会いを頼みました。自宅に来た税務署の調査官から、株式の贈与契約書が存在せず、必要な贈与税の申告手続がなされていないことや、過去の株主総会決議における決議事項につき回答できないことなどから、名義株であって実質的には父の相続財産であったのではないかと指摘されました。そこで、税理士に相続税の修正申告手続をお願いし、高額な相続税と加算税を納めることとなってしまいました。どうすれば、名義株ではないのかとの指摘を受けずに済むのですか?

A.
 名義株というのは、名義の借用等によって株主名簿における株主と実質的な株主が違う株式のことです。相続税を算出する際に、株主名簿上に被相続人の名がなくても、被相続人が実質的な株主であれば、相続財産に含めて申告しなければなりません。
 ご質問のケースにおいては、株主名簿においてはご質問者が株主とされていましたが、実質的にはオーナー社長であった父が実質的な株主であったと思われます。したがって、相続財産に含めて申告しなければなりませんでしたが、法人税申告書別表2に記された株主を確認して申告しなくて構わないと判断してしまったことから、税務調査で問題になりました。
 例えば次の点に留意し、税務調査において自分が実質的な株主であると説明できれば、贈与を受けた株式につき名義株と誤認されずに済むでしょう。
○贈与時に贈与契約書を作って署名・捺印を各自が行い、必要に応じて贈与税申告をする。
○株主総会への参加か委任状の提出等により、株主としての権利を行使する。
○配当が生じたときには、受贈者が管理する口座に入金を行い、必要に応じて確定申告をする。
おうして

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