私の夫は何代も続く地主で、自宅の敷地が広く、息子の結婚をきっかけとして同じ敷地内に息子家族の自宅を建築して住まわせています。土地は無料で貸すことに決め、建物は息子が銀行借り入れと自己資金で建築しました。息子と私たちの生計は別です。このたび夫が死去し、息子の自宅部分を含めて、自宅土地の全てを妻である私が取得しました。夫と私が暮らしていた自宅建物も、私が取得しています。自宅につき小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が適用され、私には相続税の負担がなかったものの、以後私に相続が発生したら、息子の相続税負担はいくらになるのかと不安になり、税理士に相談をしました。自宅につき相続税の負担が軽くなるのかを税理士に確認したところ、現状では自宅土地に適用できる小規模宅地等の特例が適用されないと判明しました。私が暮らしている自宅部分と息子の自宅部分のどちらにも適用されないとのことです。息子は同じ敷地内で暮らしているにもかかわらず、本当に小規模宅地等の特例が適用されないのでしょうか?
Q.
私の夫は何代も続く地主で、自宅の敷地が広く、息子の結婚をきっかけとして同じ敷地内に息子家族の自宅を建築して住まわせています。土地は無料で貸すことに決め、建物は息子が銀行借り入れと自己資金で建築しました。息子と私たちの生計は別です。
このたび夫が死去し、息子の自宅部分を含めて、自宅土地の全てを妻である私が取得しました。夫と私が暮らしていた自宅建物も、私が取得しています。自宅につき小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減が適用され、私には相続税の負担がなかったものの、以後私に相続が発生したら、息子の相続税負担はいくらになるのかと不安になり、税理士に相談をしました。自宅につき相続税の負担が軽くなるのかを税理士に確認したところ、現状では自宅土地に適用できる小規模宅地等の特例が適用されないと判明しました。私が暮らしている自宅部分と息子の自宅部分のどちらにも適用されないとのことです。息子は同じ敷地内で暮らしているにもかかわらず、本当に小規模宅地等の特例が適用されないのでしょうか?
A.
相続で自宅敷地を取得した場合において一定の条件に該当するときには、自宅敷地のうち330㎡まで評価額が8割減額される特例の適用を受けることができ、この特例を「小規模宅地等の特例」といいます。配偶者についてはほとんど無条件にこの特例の適用を受けることが可能ですが、子供についてはしばしばこの特例の適用を受けられないことがあります。自宅敷地を相続したのが誰であるかに応じて、次のとおり条件が決まっています。
○配偶者…無条件に特定居住用宅地等に該当する。
○同居親族…相続開始直前まで被相続人と同居し、かつ、申告期限まで保有し、居住している者
○生計一親族…被相続人と生計を一にする親族で、かつ、申告期限まで保有し、居住している者
○3年内家なき子…被相続人には配偶者又は同居の法定相続人がいない。相続開始前3年以内に相続人の家屋及びその配偶者所有の家屋に居住していない。申告期限までその宅地等を保有している者
これらの他に、添付書類とともに申告書を提出すること、遺産分割協議が成立することといった、自宅敷地の取得者に無関係な、共通の条件も存在します。
ご質問のケースにおいては、同一敷地内でも息子が別棟で暮らしているために、「同居親族」には該当しません。そして、生計を一つにしていたとはいえないことから、「生計一親族」にも当てはまりません。また、息子が自ら家を建てて暮らしていることから、「3年内家なき子」にも該当しません。仮に、ご質問者の夫が息子の自宅を建ててあげ、それも含めてご質問者が相続していたとしたら、条件に該当していたかもしれません。
二次相続は税負担がより大きくなる傾向にあります。したがって、ご質問者に相続が発生した際に小規模宅地等の特例の適用を受けられないことの影響は小さくないでしょう。完全分離型の二世帯住宅であっても、区分登記していない場合には、平成26年より特例の対象となりました。小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、二世帯住宅にすることも視野に入れるべきだと思われます。