私たちは平均的なサラリーマンの家庭で、裕福な暮らしでなかったものの、妻が節約して懸命にやりくりしてくれました。そして、3人の子供たちを大学まで無事に通わせることができました。知人が昨年、「結婚して20年以上経つ夫婦の場合、自宅を贈与しても最高2,110万円までなら相続税を課されない。相続税対策のため妻に自宅を贈与した」と話していました。そこで、私たちの家庭に相続税対策が必要かは不明でしたが、贈与税が課されないのならと思い、妻に対する愛情と感謝の気持ちを込め、自宅を贈与することとしました。調べると、家は木造住宅で築35年ですので評価額は200万円、土地の評価額は4,000万円でした。したがって、家屋と土地、各々2分の1ずつの持分を贈与することに決めました。贈与契約書を交わして、司法書士に名義変更手続を依頼しました。すると、司法書士報酬だけでなく、登録免許税として42万円が必要であると言われ、驚きました。また、贈与から約半年が経ったときに、不動産取得税として33万円もの納付書が県税事務所より妻に届けられました。深く考えずに贈与しましたが、予想外の出費となりました。翌年になって贈与税の申告のため税理士に相談したとき、予想外の税金が課されたと話すと、税理士から「相続によって不動産を移した場合、登録免許税は贈与の場合の5分の1であり、また、相続の場合は不動産取得税は課されません。しかも、お客様は自宅につき小規模宅地等の特例の適用を受けられますので、自宅を含めて相続しても相続税は課されませんでした。今回は特に贈与を行わなくてもよかったと思います」と言われてしまいました。妻に思いかけず税金を負担させることになってしまい、残念です。贈与することで相続税の負担が軽くなるかどうかを、贈与を行う前に確認するべきだったでしょうか?

 

Q.
 私たちは平均的なサラリーマンの家庭で、裕福な暮らしでなかったものの、妻が節約して懸命にやりくりしてくれました。そして、3人の子供たちを大学まで無事に通わせることができました。知人が昨年、「結婚して20年以上経つ夫婦の場合、自宅を贈与しても最高2,110万円までなら相続税を課されない。相続税対策のため妻に自宅を贈与した」と話していました。
 そこで、私たちの家庭に相続税対策が必要かは不明でしたが、贈与税が課されないのならと思い、妻に対する愛情と感謝の気持ちを込め、自宅を贈与することとしました。調べると、家は木造住宅で築35年ですので評価額は200万円、土地の評価額は4,000万円でした。したがって、家屋と土地、各々2分の1ずつの持分を贈与することに決めました。贈与契約書を交わして、司法書士に名義変更手続を依頼しました。すると、司法書士報酬だけでなく、登録免許税として42万円が必要であると言われ、驚きました。また、贈与から約半年が経ったときに、不動産取得税として33万円もの納付書が県税事務所より妻に届けられました。深く考えずに贈与しましたが、予想外の出費となりました。
 翌年になって贈与税の申告のため税理士に相談したとき、予想外の税金が課されたと話すと、税理士から「相続によって不動産を移した場合、登録免許税は贈与の場合の5分の1であり、また、相続の場合は不動産取得税は課されません。しかも、お客様は自宅につき小規模宅地等の特例の適用を受けられますので、自宅を含めて相続しても相続税は課されませんでした。今回は特に贈与を行わなくてもよかったと思います」と言われてしまいました。妻に思いかけず税金を負担させることになってしまい、残念です。贈与することで相続税の負担が軽くなるかどうかを、贈与を行う前に確認するべきだったでしょうか?

A.
 特例により、婚姻期間が20年以上である夫婦間において、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与がなされた場合、基礎控除110万円以外に、最高2,000万円まで控除できます。
 贈与によって不動産を移した場合、贈与税は課されなくても、登録免許税や不動産取得税が相続による移転の場合と比較して高額になります。そのため、生前贈与を行うか否かは、検討を重ねることが重要です。
 所有権移転登記に係る登録免許税の税額は、贈与による移転の場合は建物・土地共に固定資産税評価額×20/1000とされ、相続による移転の場合は建物・土地共に固定資産税評価額×4/1000とされています。そして、不動産取得税の税額は、贈与による移転の場合は、建物について固定資産税評価額×3/100(※1)、土地について固定資産税評価額×1/2(※2)×3/100(※1)とされ、相続による取得の場合は建物・土地共に非課税とされています。
 ※1…平成20年4月1日より平成30年3月31日までの取得の場合です。
 ※2…平成30年3月31日までに宅地等を取得した場合、取得した不動産の価格に2分の1を乗じます。
 なお、新築住宅や一定の中古住宅については、不動産取得税につき軽減措置が適用されます。
 贈与と相続のいずれによって移転するのが得かは、各ケースで違ってきます。相続で被相続人の自宅を配偶者が取得した場合、小規模宅地等の特例を適用すれば、330㎡まで土地の評価を80%減額できます。さらに、相続で配偶者が取得した財産につき、配偶者の税額の軽減の特例の適用を受ければ、1億6,000万円又は配偶者の法定相続分のどちらか多い金額までは相続税が課されません。
 これらの特例の適用を受けても、自宅を生前贈与した方が相続税の負担が軽くなるのであれば、贈与を検討する必要があります。ただし、登録免許税や不動産取得税の負担額も考慮に入れることが重要です。
 どの場合においても、贈与することで、相続税の減少額や、登録免許税・不動産取得税の増加額がいくらになるのかを試算しなければなりません。贈与を行う前に、税理士等の専門家に相談するといいでしょう。

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