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相続税の申告をするに当たって、アメリカにも財産があった場合に必要な手続きは、どのようなものですか?
プロベイト(検認)という方法によって、相続手続きを進めていくことになります。
1.プロベイト(検認)手続き
日本に所在する財産は、遺言又は遺産分割協議による話し合いにより手続きが進められ、相続登記によって当該財産の取得者が決定します。したがって、相続人の間での争いがある場合を除いて裁判所の手続きは不要です。
一方、アメリカに所在する財産については、プロベイト(検認)という方法により相続手続きが進められます。プロベイトとは、裁判所の管理の下、裁判所が選んだ執行者が遺言書の有無の確認から申告納税及び相続人への財産の受け渡しまでを行う手続きをいいます。
プロベイト手続きの内容は、具体的には次の通りです。
(1)遺言書の有無の確認
(2)相続人の特定
(3)財産及び債務の調査・確定
(4)財産の名義変更
(5)費用の支払い、債務整理
(6)米国遺産税等の申告・納税
(7)残った財産の相続人への分配
プロベイトは、裁判所が手続きを進めていき、当該手続きを通じて財産内容が公開されますので、日本での親族中心の手続きとは大きく異なります。
2.プロベイト手続きの期間
プロベイト手続きの期間は、財産の種類や遺言書の有無等に大きく左右されるため一概にはいえませんが、1年~3年程度の期間を要するケースが多いようです。5ヶ月程度で終わるケースもあります。
3.遺言書や遺産分割とプロベイト手続き
遺言書の有無に関係なく、原則としてプロベイト手続きが必要です。また、相続人の間での遺産分割が認められるか否かは、それぞれの州により取り扱いが異なります。
4.プロベイト手続きが不要な場合
次の場合には、プロベイト手続きが不要となることもあります。
(1)財産が一定額以下の場合(州によって金額は異なります)
(2)生前信託を設定した場合
(3)預金口座等について承継者を指定した場合
(4)一定の要件を満たした共有名義とした場合
次の各ケースで、各々の財産は日本の相続税の申告対象になるでしょうか?なお、被相続人・相続人は、共に日本国籍を有しています。 ア.被相続人である父と相続人である子は、共に日本在住。相続財産はイギリスの不動産。 イ.被相続人である父は日本在住、相続人である子はアメリカ在住。相続財産はアメリカの不動産。 ウ.被相続人である父はドイツ在住、相続人である子は日本在住。相続財産はドイツの不動産。 エ.被相続人である父と相続人である子は、共に中国在住(10年前から)。相続財産は中国の不動産。
ア~ウのケースでは各々の財産が日本の相続税の申告対象になりますが、エのケースでは申告対象になりません。
1. 納税義務者の範囲
相続税の納税義務者は、次のように区分されています(特定納税義務者を除きます)。
・居住無制限納税義務者・・・相続又は遺贈(死因贈与を含みます。以下同じ)により財産を取得した
個人で、その財産を取得したときにおいて日本国内に住所を有する者のこと。
・非居住無制限納税義務者・・・相続又は遺贈により財産を取得した日本国籍を有する個人で、その
財産を取得したときにおいて日本国内に住所を有しない者のこと。ただし、その個人又はその被相続人(遺贈した者を含みます。以下同じ)が、その相続又は遺贈に係る相続の開始前5年以内のいずれかのときにおいて日本国内に住所を有していたことがある場合に限ります。
・制限納税義務者・・・相続又は遺贈により日本国内にある財産を取得した個人で、その財産を取得
2.課税される財産の範囲
納税義務者の区分によって、課税される財産の範囲が異なります。
居住無制限納税義務者:国内・国外全ての財産に、相続税がかかります。
非居住無制限納税義務者:国内・国外全ての財産に、相続税がかかります。
制限納税義務者:国内にある財産のみに、相続税がかかります。
相続税の税務調査が行われるのは、いつ頃でしょうか?
一般的には、申告書を提出した年の翌年9月~12月に行われます。
税務署では、過去の確定申告書(特に譲渡所得)、大口のお金の流れ等に関する事前調査を入念に実施し、その後、実地調査のために納税者の下を訪れます。