私たちは夫と子供2人(長男、長女)の4人家族です。子供たち2人は以前から不仲で、夫は普段から「俺が死んでも困らないよう遺言書をきちんと書いてあるから、安心するように」と私に言っていました。先日、夫が死去し、夫の書斎で自筆証書遺言が見つかりました。裁判所で検認を受けて確認すると、「遺産を3分の1ずつ遺贈する」というような簡単な内容でした。夫の財産は、現金のみならず、不動産、投資信託と、いろいろな種類のものがあり、具体的にいかに分配したらいいか分かりません。税理士に相談したら、具体的に誰がどの財産を相続するかについて、遺産分割協議で決める必要があると指摘されました。子供たちが不仲でしたので、具体的に財産をどのように分配するかを決めるのに多くの時間を費やしてしまいました。割合を指定した遺言書を残しておけば、遺産分割協議が不要となるわけではないのですか?

 

Q.
 私たちは夫と子供2人(長男、長女)の4人家族です。子供たち2人は以前から不仲で、夫は普段から「俺が死んでも困らないよう遺言書をきちんと書いてあるから、安心するように」と私に言っていました。先日、夫が死去し、夫の書斎で自筆証書遺言が見つかりました。裁判所で検認を受けて確認すると、「遺産を3分の1ずつ遺贈する」というような簡単な内容でした。夫の財産は、現金のみならず、不動産、投資信託と、いろいろな種類のものがあり、具体的にいかに分配したらいいか分かりません。
 税理士に相談したら、具体的に誰がどの財産を相続するかについて、遺産分割協議で決める必要があると指摘されました。子供たちが不仲でしたので、具体的に財産をどのように分配するかを決めるのに多くの時間を費やしてしまいました。割合を指定した遺言書を残しておけば、遺産分割協議が不要となるわけではないのですか?

A.
 「遺贈」というのは、遺言書によって無償で財産を渡すことで、包括遺贈と特定遺贈に分類されます。包括遺贈というのは、遺産の全部又は一部について「X分の1」といった一定割合を示してなされる遺贈(例えば「財産の3分の2は妻に、残りは長女に」)のことです。一方、特定遺贈というのは、特定の具体的な財産によってなされる遺贈(例えば「土地は妻に、預貯金は長男に」のことです。
 包括遺贈のメリットとデメリットについて、以下に述べます。
 メリットについては、指定しているのは割合のみであることから、遺言書を書いた後に、預金が増えて不動産が減るといった財産の変動があった場合にも、包括遺贈の割合に応じて財産を分配できます。このような時の経過による財産の変化に対応した遺言の書き方です。
 一方、デメリットについては、相続が実際に発生した際に、各財産をいかに分配するかを遺産分割協議で決定する必要があります。被相続人の遺産が預貯金だけなら、特に問題になりません。しかし、もし、遺産が不動産と預貯金であり、「財産の3分2は妻に、残りは長女に」という包括遺贈がなされたら、2人とも相続したいのは預貯金のみである場合に、不動産を取得するのはどちらであるかということにつきトラブルが発生する可能性があります。
 上記のとおり、遺言を書いたにもかかわらず、トラブルが発生する可能性があります。何回でも遺言書を書き直すことができますが、最初は包括遺贈の形式で書いてあっても、後に特定遺贈の形式で書き直すといいでしょう。

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