私たちは4人兄弟で、母と同居して母の世話をしているのは私です。しかし、正月や盆に親族が集まる際には必ず、兄弟は4人とも平等だとか、あの株は私がもらう約束になっているなどと、勝手なことを言われます。かつて父が死去した際に、大半の財産を母が相続しました。気の強い母が場を仕切りましたので、兄弟は仕方なく了承しましたが、不満が残っていたと思われます。次の相続でトラブルが起こらないよう、母に遺言を書くよう頼みました。すると、既に書いてあるので大丈夫だと母から言われましたので、それ以上のことは言えないままでした。その後に母が死去し、葬儀の後に母の遺品を整理していたら、遺言書と記された封筒を見つけました。税理士に相談したら、封印されているので家庭裁判所で検認という手続をする必要があると教えてくれましたので、その手続も終えました。遺言書には、自宅などの不動産を含めて約半分を私に、残りの半分を弟や妹たちに均等にと記載されていました。しかし、遺言書に記されたように預貯金や上場株式、投資信託等を換金しようとしたら、金融機関の窓口で、遺言執行者が記されていないので手続に応じることができないと言われました。そこで、弟や妹に換金に協力してもらおうと、必要書類に署名・押印をしてもらいたいと伝えました。しかしながら、遺言書の内容に不満があるのか、書類を送っても返事はなく、電話をかけても出てくれません。このような状況が続くと、相続税の申告期限までに現金を準備することは不可能ですし、株価も日々変動していますので財産が目減りしてしまうのではないかという思いから落ち着きません。遺言書には遺言執行者を記しておくことが重要なのでしょうか?

 

Q.
 私たちは4人兄弟で、母と同居して母の世話をしているのは私です。しかし、正月や盆に親族が集まる際には必ず、兄弟は4人とも平等だとか、あの株は私がもらう約束になっているなどと、勝手なことを言われます。かつて父が死去した際に、大半の財産を母が相続しました。気の強い母が場を仕切りましたので、兄弟は仕方なく了承しましたが、不満が残っていたと思われます。次の相続でトラブルが起こらないよう、母に遺言を書くよう頼みました。すると、既に書いてあるので大丈夫だと母から言われましたので、それ以上のことは言えないままでした。
 その後に母が死去し、葬儀の後に母の遺品を整理していたら、遺言書と記された封筒を見つけました。税理士に相談したら、封印されているので家庭裁判所で検認という手続をする必要があると教えてくれましたので、その手続も終えました。遺言書には、自宅などの不動産を含めて約半分を私に、残りの半分を弟や妹たちに均等にと記載されていました。しかし、遺言書に記されたように預貯金や上場株式、投資信託等を換金しようとしたら、金融機関の窓口で、遺言執行者が記されていないので手続に応じることができないと言われました。そこで、弟や妹に換金に協力してもらおうと、必要書類に署名・押印をしてもらいたいと伝えました。しかしながら、遺言書の内容に不満があるのか、書類を送っても返事はなく、電話をかけても出てくれません。このような状況が続くと、相続税の申告期限までに現金を準備することは不可能ですし、株価も日々変動していますので財産が目減りしてしまうのではないかという思いから落ち着きません。遺言書には遺言執行者を記しておくことが重要なのでしょうか?

A.
 遺言書は被相続人の意思を死後に伝える手段であるだけでなく、その遺言書で意思を実現することも可能です。すなわち、遺産の名義を変更するためには、遺言書が存在しなければ、全ての相続人による遺産分割協議が原則として必要ですが、法的に有効な遺言書が存在する場合には、相続人全員の協力がなくても遺産の名義を変更できます。
 ただし、名義変更のためには遺言書さえ存在すればいいというわけではなく、その遺言書を手に金融機関を回り、名義変更等の事務手続を行う必要があります。「遺言執行者」というのは、この事務手続を行う人のことです。遺言執行者は、被相続人の意思どおりに遺言を実現する必要がありますので、その手続に係る全ての権限を持ちます。遺言執行者が指定されていない遺言書については、一般的には、金融機関における名義変更や解約といった手続を相続人・受遺者が単独で実行できません。遺言執行者が記されていない遺言書が見つかったら、家庭裁判所に遺言執行者の選任の申し立てを行うという方法も存在します。しかし、相続人同士でもめていた場合には、遺言執行者の候補に関する意見も一致しないケースが多く、また、選任までに時間も要しますので、遺言書に遺言執行者を指定しておくのが無難です。
 公正証書でも自筆証書でも、遺言執行者を指定しておくべきであるということは、あらゆる遺言について当てはまります。自筆証書遺言については、特に遺言執行者が指定されていないケースが多く見受けられます。自筆証書遺言はこっそりと書くものであり、誰かからアドバイスを受ける機会がないことから、このような不備が生じるものと思われます。
 公正証書遺言を選択し、公証人その他の専門家からアドバイスを受けたり、金融機関が提供する「遺言信託」というサービスを利用したりするなどして、相続人間のトラブルを避けるべく万全を期すといいでしょう。
 ちなみに、公正証書遺言は、公証人に費用を払い、公正証書で作成をします。公証役場に原本が保管されることから、より安全で確実な遺言となります。一方、自筆証書遺言は、公証人や証人が不要であるために簡便に思えます。しかし、不備があれば遺言が無効となってしまう場合もあります。そして、自筆証書遺言は、相続開始後に家庭裁判所の検認を受けなければなりません。

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